ギボンがべリサリウスについて書した個所をみていこう。
使用したテクストはこちらから
ギボンとは
ちなみにギボンとは『ローマ帝国衰亡史』で有名なイギリスの歴史家である。
歴史的名著として多くの人に読まれている。
彼は英雄であった
The forces of the Vandals were diminished by discord and suspicion; the Roman armies were animated by the spirit of Belisarius; one of those heroic names which are familiar to every age and to every nation.
https://www.gutenberg.org/cache/epub/25717/pg25717-images.html#chap41.1
ここの個所でまずベリサリウスの名前が指摘されている。
すべての時代、すべての国において親しみのある英雄の名前であると指摘されている。
日本ではあまり馴染みのない名前であるが、ギボンによるとかなり高い地位にある英雄であることがわかる。
また次のようにも指摘されている。
The Africanus of new Rome was born,
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『新しい時代のアフリカヌス』と呼称している。
ローマに詳しい人ならこれがいかにすごい呼称かがわかるだろう。
あのアフリカヌスの再来と称しているわけだ。
あのアフリカヌスとは、もちろんあのハンニバルに圧勝したローマの天才、スピキオ・アフリカヌスのことである。
The Africanus of new Rome was born, and perhaps educated, among the Thracian peasants, 5 without any of those advantages which had formed the virtues of the elder and younger Scipio; a noble origin, liberal studies, and the emulation of a free state.
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ここで新しい時代のアフリカヌスであると述べているが、ただスピキオのような恵まれた出自ではなかったと語っている。スピキオといえば貴族出身であり、生まれ持ってして受けられる恩恵が多かった。かたやベリサリウスといえば、トラキアの農民出身である。
ユスティニアヌス帝の親衛隊となる
he served, most assuredly with valor and reputation, among the private guards of Justinian;
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ぺリサリウスを語るうえでなくてはならないのが、このユスティニアヌス帝だ。農民出身のぺリサリウスが英雄になったのはユスティニアヌス帝のおかげであり、ユスティニアヌス帝が巨大な領土を獲得できたのもぺリサリウスのおかげである。そしてぺリサリウスが出世の足掛かりとなったのは、このユスティニアヌス帝の親衛隊となったためである。ここでは親衛隊の中でもぺリサリウスが最も勇敢であり名声を獲得していたことを述べている。
and when his patron became emperor, the domestic was promoted to military command.
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そしてユスティニアヌス帝が皇帝になると同時に、ぺリサリウスも軍司令官となる。
ここから彼の英雄譚がはじまるのである。
隠された英雄
今回はギボンによるべリサリウス評を読解してみた。彼によればぺリサリウスとは、かのスピキオと同列に扱うほど偉大な将軍であったのだ。まさに人類史の英雄の一人であり、もっと注目されてもよい人物であるといえるだろう。
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